2010年07月17日

あまり知られていないことですが、大阪はぶどうの生産量全国第7位、デラウェアの生産量全国第3位なのです。
大正時代の終わり〜昭和の初め頃は全国1位だったこともあるそうです。
そんな大阪のぶどうも、現在栽培の根底を揺るがす危機に直面しています。

昔から生産されている生食用ぶどう(主にデラウェア)の市場価値下落。
生産者の高齢化。後継者不足。耕作放棄。。。。

すぐ近くに働く場所があるので、後継者候補はサラリーマンとして働きに出てしまう。
また、土地の価値が高いので駐車場やマンションにした方が儲かります。
更に、高齢なので人気のある新しい品種への切り替えも易々とはできません。
体力的な理由もありますが「いつお迎えが来るか分からんのに、何年もかかる苗なんて植えてもしゃーない。」と言う訳です。

例えば、弊社のある柏原市。
157件のぶどう農家のうち、後継者が決まっているのが14-15件です。
平均年齢は70代〜80代だと思われます。

生食用で高く買ってもらうには、2重加温(ビニールハウスと加温)して出荷時期を早め、更に種が一切無く、糖度も高く見栄えも良く・・・と非常にハードルが高くなっています。
ビニールハウスの張り替えだけでも、大変危険な作業です。
ジベレリン処理も一房一房に行う重労働です。
もちろん薬剤散布も必要です。

弊社としては、ぶどう畑が無くなってしまうのは非常に悔しいことです。
数年前からぶどうの買い取りや畑のお手伝いをしてきました。
ただ、それでは不十分だとずっと考えていました。

弊社に何ができるか。
結論は、これらのぶどうを活かした事業を積極的に展開すること、でした。

ワイン用なら見た目が悪くても、中身さえ良ければ十分です。
味が出るので種はむしろ歓迎です。
出荷時期を競う必要がないので、ビニールハウスで加温する必要もありません。

最初は自社農園で実験してみました。
ジベレリン処理をせず種有りに。
除草剤を止めます。同時に農薬を減らしていきます。
数年すると、土地の力が回復し必要な肥料の量が三分の一くらいになりました。
肥料の中身も、ぶどうの搾りかすや牛糞などの有機肥料に変えて行きます。
手間も三分の一くらいに減りました。
しかも、ワイン用として素晴らしいぶどうができました。
このぶどうで造ったスパークリングワインで、2年前にジャパンワインチャレンジとジャパンワインコンペティションで賞をいただきました。

現在はこの方法を協力農家さんに広めているところです。
正直、難しい部分もあるのですが、なんとかあと数年持ちこたえていただきたい。
と言うのは、後継者候補の方々が後数年で定年を迎えられると考えるからです。
定年後にぶどう栽培を継ごうと考える人も出てくるのではないかと。

ワイナリー近辺のデラウェアだけでもかなりの量になります。
そのぶどうを活かすには、たこシャンを多くの方に飲んでいただくことが必要です。

皆様、どうかご協力をお願い致します。

大前提として『おいしい』と言っていただける商品にすることが必須です。
従業員一同、更においしいワインを造れるよう努力致します。


担当:見習い
(・・・と長文に取り組んでいる間に、完売してしまいました。大変光栄です、ありがとうございます。来年もよろしくお願いします。)

katashimowinerykatashimowinery at 12:55│栽培&製造 | 修行記